空冷のポルシェ911と私

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空冷のエンジン搭載のポルシェ911が生産を終えて、15年経ちます。

さすがに最近はポルシェ911といえばポルシェ996,997あるいは最新の991型の
水冷エンジンポルシェ911がポルシェ911として認識され、

空冷エンジンのポルシェは見かけることも少なくなりました。
しかしポルシェ911は1963年に発表されて以来、空冷の時代が長く続き、

1989年に最後の空冷ポルシェとして、930スピードスターがラインオフするまで、
36年間作られ続けました。

最初のポルシェ911をデザインした、ブッツィーポルシェ(アレクサンダー・ポルシェ)も
2012年に亡くなり、空冷ポルシェの時代は遠く過ぎ去った観があります。

最近の水冷ポルシェ911は目覚しい性能の向上で、最後の空冷エンジンの993型でさえ、
性能からいえば足元にも及ばないほどの差があります。

ただ私など、昔からのクルマ好きには今のポルシェ911はあまりに良く出来ていて、
都会的で洗練された紳士が似合いそうで、私などがさつな人間には似合いません。

空冷エンジンのポルシェ911が好きな理由は、もちろんボディデザインもありますが、
簡単に言うと、乗り味と音と香り(におい?)ということになります。

確かに最新のポルシェ911のような洗練されたスタイルはないかもしれませんが、
空冷ポルシェ911が持つ独特の雰囲気は今も残っています。

現在、私はポルシェ911のタイプ964カレラ2とタイプ930のスピードスター、
そして、911SCのボディにタイプ993の後期エンジンを載せたもの(製作途中)を持っています。

空冷エンジンのパーツ、たとえばクランクケース、コンロッド、ピストン、シリンダー、ヘッド、カムなど
新品、中古など含めて一台分くらいはあります。

空冷エンジンは、ストックで930カレラ3,2の88年式のオーバーホールしたものがあります。
エンジンパーツ以外にも足回りや電装関係の部品もありますが、

たくさんの空冷911の部品を一つ一つながめるだけでも楽しい時間です。

ホンダNSX

日本初のスーパーカーと言われたホンダNSX (ちなみにトヨタ2000GTもスーパーカーという範疇に入るかもしれませんがこれは例外として)の次期モデルが今年にもデリバリー開始されるといわれています。

初代の時には予約を入れたのですが、今回は金額的に倍以上のプライスのようでとても手が届きません。
年齢的にももうあんなスーパーな自動車に乗ろうとも思いません。

ところで、ひとつ気になったのはあの車重で、1700キロを超えるというのはちょっと目を疑いました。
もちろんモーターとか電池とか重量物を積んで重くなるとしても、そもそもスーパーカーとしてどうかと思う。

初代のNSXが登場したころのポルシェ911、つまりポルシェ964の時代ですが、たったの250馬力しかなかった。

それでも国産のスポーツカーに負けることはありませんでした。ポルシェ911RSでさえ260馬力。
RSは今でもポルシェ乗りのあこがれです。

RSのすごいところはノーマルより100キロも減量したこと。
つまり、どれほど車にとって重量が効くか、ポルシェはよく分っている。

のちにホンダNSXもタイプRという車種を出してきましたが、今回もそういうのを後出しするにしても
最初の車重があれでは、そぎ落としても1500キロを切るのは無理でしょう。



 

空冷ポルシェ911のタペット調整

空冷エンジンのポルシェはタイプ964まではタペット調整を定期的にすることになっています。
ロッカーアームとバルブステムのクリアランスを正規の値、0,1mmに合わせる作業です。

ポルシェ911の空冷エンジンはすべての年式、あるいはターボであろうとカレラであろうと
すべて定期的にこの作業をすることになっています。

空冷ポルシェ911でもタイプ993からは油圧ラッシュアジャスターが自動調整するように
新しく採用されたので、この作業はしなくてもすむ様になりました。

ただ、水平対抗の特に空冷エンジンはオイル漏れしやすいので、このタペットカバーのガスケット(パッキン)は
定期的に点検交換するように心がけておいたほうが良いでしょう。

もっともポルシェ964からはこのガスケットのマテリアルがゴム製に変わって
以前よりは耐久性が上がったようではあります。

タペット調整自体は、13mmのめがねレンチとマイナスドライバー、それにシックネスゲージ
があれば出来ます。

シックネスゲージは空冷ポルシェ911専用のものをつかいます。
ポルシェの空冷エンジンはシングルカムですのでロッカーアームを介してバルブの開閉をしますので、
ロッカーアームとバルブステムの間にシックネスゲージを差し込んで、クリアランスを調整します。

このクリアランスはエンジンが温まった時に、ぴったり合うようになっていますので、
広くても狭くてもバルブタイミングに影響してきます。

エンジンを始動して、カタカタという音が大きくなるとクリアランスが拡がったと分かりますが、
逆に狭まったときは音がしません。

しかし、狭くなった時のほうが問題になる場合があるので、点検整備は大事です。

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ポルシェ964の中古車

ポルシェ930カレラを買うか、あるいは964カレラ2にするか、空冷ポルシェ911の中古車を購入する場合
悩むことがあるかもしれません。

このブログでも何度も紹介していますが、同じ外観でも964と930カレラでは内容はかなり違いがあります。
もちろん空冷ポルシェという点ではタイプ993というのもありですが、

空冷エンジン以外の点で、ポルシェ964以前の911とは少し味という意味でここでは分けて考えます。
私の中ではポルシェ993は丁度空冷ポルシェと水冷エンジンのポルシェの中間点というようなスタンスでしょうか。

ポルシェ930カレラは正式にはポルシェ911カレラですが、このカレラというのは
カレラ・パナメリカーナ・メヒコというポルシェの参加したレースから取った名前で、

73カレラなど特別な仕様のポルシェに付けられていた名前ですが、
現在はどの911にも付けられていて、聞くところによると

930カレラで、73カレラの性能を超えたからつけたということを聞いたことがあります。
そこで911カレラではどの911を指すのか分からないので、普通930カレラ3,2といいます。

ところで、930カレラの中古車は、中古車市場でもあまり見かけられません。
程度の良い中古車を選ぶのがちょっと難しくなっているようです。

その点で言えば、ポルシェ964は中古車展示場でよく見かけます。
ただ、964の中古車はティプトロニックの個体が多く、値段もかなりの違いがあります。

そういう点から考えると、マニュアルミッションより、安くて程度も良い964が手に入る可能性が高くなります。
あとマニュアルにこだわればカレラ4という車種もあります。

カレラ2よりも安く買える可能性が高いですが、ただ、タマ数が少ないというのが欠点です。

ポルシェ935

ポルシェ934はポルシェターボの市販車に近い形をしています。
フロントのエアダムやリアの大型のウイングなど迫力満点ですが、

やはりシルエットフォーミュラーともいえるポルシェ935は
マルティニカラーを纏って、いかにもレースカー然としたたたずまいです。

ポルシェ935も934同様ポルシェ930ターボを基にして作られています。
シャシーは生産車のものを基本的に使い、アウターパネルは軽量化のために
強化プラスチックなどを使い車重は970Kgほどで、

エンジンに関してはRSRのエンジンのボアを95ミリから92ミリに
落として、2808ccにしました。

これにより、ポルシェ935の車重が970Kgまで落とせることが出来ました。
ブースト圧は普通1,5気圧で、運転席で調整可能でした。

ルマンのレースでは耐久性、信頼性を増すために1,2気圧までで落とし、
最高出力も590馬力から540馬力まで落としました。

これほど大きな出力に対してもクランクシャフトは生産用のポルシェ空冷エンジンのものを
使用していたようです。

余談ですが、こういうところから見ても空冷ポルシェ911のエンジンは
十分な耐久性を持っているという証明ではないでしょうか。

このポルシェ935は1976年からあらゆるレースで勝利を収める大活躍を始めるのです。

ポルシェ911のトーションバー

ポルシェの空冷エンジン車でも1989年までのポルシェ911には
トーションバーというスプリングが付いていました。

ポルシェ964以降は普通のコイルスプリングに変わりましたが、
これによって乗り味はだいぶ変わったように思います。

私の場合は一台は964のカレラ2のMT、930カレラはスピードスターという車種で、
ノーマルとオープンという違いはありますが、

964カレラ2のほうが930カレラよりストロークが多いというか、
乗用車に近い感じがします。よくいえば洗練された乗り味というのでしょうか。

それに比べると930カレラは例えばアスファルトの継ぎ目をひろったり、
路面が悪いとダイレクトに乗り心地に反映されるように感じます。

もちろんポルシェ911が930カレラまで20年以上使い続けたバネですから
悪いとか、古いとか言うものではなくて、

例えばスペースを取らないとか、車高の調整が簡単に出来るなどのメリットがあります。
事実、F1グランプリのマシンにも取り入れられているくらいですから、

スポーツカーに使えないとかいうことはありません。
ただ乗り心地がよいしなやかな足にするのはあまり得意ではないようです。

本当によいトーションバーにするには設計の難しさや、特殊性などでコスト高になるということもあるようです。

いずれにしてもポルシェ911でも空冷の、それも930カレラ以前のポルシェ911でないと
このトーションバーのサスペンションの感覚を味わうことはできません。

ポルシェ930カレラ

ポルシェ911でも930カレラとなるともう25年は経っています。930カレラの中古車を購入するとなると、
選ぶのが大変です。

これがナローポルシェともなれば、ヴィンテージカーとして、レストアしているのがほとんどで、
もちろん金額は張りますが、程度もよい状態で手に入れられることが多いですが、

930カレラあたりだと、オーナーが何度も代わって途中で故障し、不動車で長く放置されていた個体とか
板金塗装、修理などの痕が錆びて穴が開くとか、メンテナンスの不足で調子が悪いなど、

程度がさまざまで、もちろん中古車の価格もさまざまですが、
中古車の金額はその販売店で決めるので、その販売店に並んでいるポルシェ930が
適正な価格かは客が判断するしかありません。

それに空冷エンジンのポルシェ911はオイル漏れという決定的な弱点があります。
ほとんどの場合は、一番外側のタペットカバーのガスケットのところからの漏れが多いですが、

クランクケースの合わせ目からだと、クランクケースを割るところまでオーバーホールしなければ
オイル漏れが止まりません。

そうなると930ポルシェカレラを買ってからあとに大変な出費が発生することになります。
いくら安いからといって、何でもよいとはいきません。

それになりよりポルシェ930カレラはタマ数が多くなく、なかなか条件に合うのがありません。
気長に、本当に自分の気に入るものを探すのが一番よいでしょう。

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ポルシェ911Type964の中古車

空冷ポルシェ911の中古車は根強い人気があり、状態の良い個体は
じりじりと値が上がってきているような状況です。

また同じ年式、車種でも、条件によってかなりの値段の差があります。

例えばポルシェ964の場合、マニュアルトランスミッション車とティプトロニック、つまりオートマチック
トランスミッション車では、ずいぶんな値札の金額差があります。

左ハンドルが圧倒的に多い空冷ポルシェ964でMTは慣れないと運転しにくいはずなのですが、
それでも明らかにMTのほうが人気があります。

やはりオートマより格段に運転していて楽しいということがひとつと、
マニュアル車は少ないという希少価値も原因のひとつです。

もうひとつはティプトロニックは壊れるとかなりの修理代が必要ということもあるかもしれません。
国産のホンダNSXもオートマチックとマニュアルで、ポルシェ964と同じようなことがあります。

最新のポルシェ911ではティプトロからPDKに変わって、
かなりマニュアルに近い感覚で操作できるようになり、ダイレクト感が増しましたが、
ティプトロは普通のATに近い感覚なので、少し面白みに欠けるかもしれません。

もちろんポルシェ964は20年も以前の車ですので、中古車は状態で左右されるのはいうまでもありません。

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空冷ポルシェ911の魅力

ポルシェ911のエンジンは空冷の時代が長く続きました。
リアエンジンリアドライブであることで、エンジンが軽い必要がありました。

そこでアルミのエンジンになりました。一部はマグネシウムを使ったこともあります。
空冷のメリットとして、軽量ということもプラスでした。

水平対抗の低重心ということもひとつの要素でありました。
しかし空冷エンジンの一番大きなデメリットは熱対策が難しいということで、
高圧縮、高出力と排気ガス対策には水冷化は当然の帰結ではあります。

ですからポルシェ911の空冷エンジンと水冷エンジンではまったく別のエンジンで、
排気量が3,6から3,4Lに少なくなったにもかかわらず、300馬力と
出力が大きくなりました。

その上、燃費さえ空冷エンジンより良くなったといわれています。
ツインカムになって燃焼効率も上がって、なんと言っても熱管理が
うまく出来るようになったということがこの結果につながっているのでしょう。

最新のポルシェが最良のポルシェといわれているのですから当然ですが、
それでも私は空冷のポルシェ911が大好きです。

性能というより空冷ポルシェの味、例えば音だったり、においだったり
乗り味だったり、それに空冷ポルシェ911に乗ると、景色さえ変わってくるように感じるのが不思議です。

ポルシェ911専門誌 続き

ポルシェ911の専門誌についての続きです。Nine Eleven Days
ナインイレブンデイズという季刊誌が創刊されたのが、2000年の秋号からです。

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同じ名前のホームページが出来たのもこのころだと思います。
911ポルシェマガジンとこのナインイレブンデイズの2誌がポルシェ911の専門誌としてあります。

ところでこの創刊号のポルシェマガジンとナインイレブン、どちらも同じ編集人が裏表紙に載っています。
いろいろ事情があって、このナインイレブンデイズが発刊されたようです。

ですので、それまでのポルシェマガジンの編集内容はナインイレブンデイズに受け継がれているように思えます。
正直、私としてはナインイレブンデイズの内容のほうがあっているので、

こちらを中心に買うようになりました。
私は空冷のポルシェ911に強く惹かれているので、水冷エンジン911の記事が増えた最近は、毎回購入するということはありません。

時代の流れというか、ポルシェAGもVWの傘下に入り、
現代的な自動車会社になって、ある意味ちょっと昔のポルシェらしさがなくなってきたようにも感じます。

ただポルシェ911のコンセプトは変えずにいるというのはうれしいことではあります。